
レントゲンを浴びてしまうと、一般に「放射線被爆」を受けたと言いますが、実は我々は、知らないうちに日常生活でも、一人の例外もなく(おなかの胎児もです)「放射線被爆」を受けていることをご存知でしょうか。もちろん目には見えませんが、宇宙から地球にはいってくるもの(もちろん太陽光線も入ります)、地面の中の石からくるもの(関東と関西で違いますが)、体内に取り込まれた微量の元素など数え上げたらきりがありません。他国の核実験、ブラウン管のカラーテレビ、携帯電話からでる放射線ですら私たちの人体に無害とは言えないでしょう。種類こそ厳密には違いますが、人体への影響は同じものです。
話を戻して、歯科での量は実際どのくらいなのですか?と言われたら、実は計測不可能なのです。不思議に思われるかもしれませんが、レントゲンを当てる照射量と、患者さんが取り込む量(被曝量)は違うからなのです(照射したものがすべて吸収されるわけではありません)。実際には被曝量の方が問題になるのですが、厳密には計測施設を作り、中に人を入れて当てた量と、漏れ出た量を計算しなければ出てこないでしょう。しかし、実際計測するにはそんな簡単なものではありません。
またいろいろな資料を見ても、ここで簡単に説明できないような比較データが多く、結局は世界のスタンダードと考えられる、国際放射線防護委員会(ICRP)のデータを信じるしかないようです。ICRPですら、歴史的時間の経過とともに基準値などが変化しているところを見ると、将来的に安全基準がまた変わる可能性はあると思います(もちろん歯科での被曝量はそれよりはるかに低い値です)。しかし今現在の国際基準では、それで問題があったという報告が無いから問題が無いであろうと考えざるをえないのかなと思います(ICRPのデータがおかしいと言っているのではありません。念のために)。
また我々歯科医師が購入するレントゲン機器は、取扱説明書のどこを見ても、その1回あたりの照射量は記載されていませんし、当然被曝量の記載もありません。
では何を根拠に大丈夫と言えるのかというと、50年くらいのデーターの中で、今のところ、体の異常の現れと、歯科の放射線との因果関係を証明できたものがないから、ということが私の考えるところです。もちろん教科書的には1年間に自然に浴びる放射線量が100とすると1前後くらいが歯科で浴びる量と言うことですが、正直それに関しては疑問点が多すぎて、そのまま患者さんに説明することはできません(むしろそれより少ない可能性すらあります)。
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